| キング・コング(1933年のRKOのやつ)のDVDを買ってきました。
すばらしい! オブライエンのクレイアニメーションはもちろん素晴しいですが、人物との大胆な合成が更に素晴しいです。合成はほとんどスクリーンプロセスで、たまに二重露光を使っているようです。特にスクリーンプロセスの使い方がすごい。クレイの後ろにバックプロジェクションしているのは最初に見たきはぶったまげました。普通はクレイアニメを映したバックプロジェクションスクリーンの前で人間が演技します。これなら、スクリーンプロセスの撮影は一発(短時間)で済みます。キングコングでは逆に、人間を映したスクリーンの前でクレイアニメーションをコマ撮りしているカットもあるのです。これだとクレイアニメーションを撮影している長時間に渡りスクリーンプロセスを続ける必要があります。すげえ手間です。解ってしまえば簡単なカラクリですが、撮影はすごく大変だったんだろうなあ...しかも合成は恐しく自然です。50年もたったのに、さよならジュピターは何だったんだ!と思いました。
と、ここまでは特撮の感想なんですが、普通の映画としても最高の出来です。面白い。僕が特に好きなのは悪い奴が誰もいない事です。今の感覚でこの映画を作ったら、コングを連れてきた興業師を悪人にして、コングを攻撃する軍隊に怒りを憶えさせる作りになるところですが、この初代のキング・コングには悪人が出てきません。登場人物の物の考え方や反応がどれも納得ずくなのです。誰の立場に立ってみても「たしかに俺もこうするわ」という無理のないストーリーなのです。すげーよ、キング・コング!!
高校生の頃に1度、劇場にリバイバルを見に行った事があるのですが、その時はこんな感想は持たなかったなあ...(特撮ばっかり見てたのかな)
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