2006年7月31日

筒井康隆「ロートレック荘事件」

ということで今度は、「ロートレック荘事件」に挑戦。
87ページまで読了。例によって未読の人はネタバレ注意。
今回きがかりなのは「おれ」という一人称だ。第一章からずっと「おれ」の視点で物語が記述されているのだが、まず第一章と第二章では明らかに「おれ」の対象が入れ替わっているように(一般読者には)読める。一章の語り手は幼少時に重樹自身に怪我をさせた、重樹とは同い年、従兄弟の間柄。二章以降は重樹本人と読める。では、一章の語り手は二章以降でどこに登場するのか。自然な連想では、主人公と同い年である工藤忠明という人物なのだが、よくよく読んでみても、工藤が一章の語り手であった証拠は二章以降、提示されていない(六章までは)。これは二章以降の語り手を工藤であると読者に思わせるミスディディレクション?
もうひとつ気になる点が。二章以降の各章では、「おれ」の語り手である人物は「重樹」である証拠が随所に示されている。が、が、が。七章だけにはその痕跡がない。七章でだけ「おれ」が入れ替わっているかもしれない。では、七章の語り手は工藤なのか?
もう少し大胆に推理をとっぴな方向にとばしてみる。一章ではその語り手は重樹にどんなときもずっと付き従うとある。仮に工藤が一章の語り手でないと仮定すると、一章の「おれ」はいったいどこに行った?
重樹に常に付き従っているのではないのか?実は、一章の語り手は二章以降もそこに、つまり重樹のそばに存在するとしたら?それについては誰も語っていないのだとしたら?
もっと違うバリエーションに挑戦してみる。実は、一章以降「おれ」は入れ替わっていないのだとしたら?
二章以降の語り手も重樹ではなく、重樹のそばにいる「おれ」なのだ。うーむ、これはかなり大胆だな。
まわりのみんなは重樹に語りかけたりしてるから、重樹が口が利けないのでない限り重樹が答えないのは不自然だ。それに三章、四章の語り手は「身長が止まった」旨の記述があり、あきらかに重樹だ。
んー。こんなところで、とりあえず先に行くか…
そういえば、ろころどころにロートレックの絵が挿入されているのだが、これって何か意味あるのかな。

六章⇒七章の間違い。

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