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2007年9月25日

オーデュボンの祈り(伊坂幸太郎)

オーデュボンというのは実在する人物の名前で、絶滅したリョコウバトという鳥に関連づけられて覚えられている。
小説のテーマとして、この話を持ってくるのはなかなかよいと思った。しゃべるカカシや悪人を私刑にする人間など、孤島に様々な人間の設定もバラエティに富んでいる。ただ、全体としては読むのに非常に時間がかかった。理由は詳細にはわからないのだが、モチベーションを強烈にドライブするものがないからかな?登場人物の中の誰にフォーカスすればいいのかわからないせいかもしれない。ちょっと気になったのは、現実の世界であるはずの仙台側の人間設定に妙に現実味がないこと。静香もそうだが、特に城山。すごい悪い奴なのだが、あまりにベタすぎてリアリティに欠ける。意図してるのかもしれないが、なんかそれが気持ち悪かった。

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2007年9月11日

結果報告

えー、「幻夜」の結末が大変残念なことになりましたため、借りている「手紙」はペンディングし、伊坂幸太郎「オーギュボンの祈り」を先に読むこととなりました。
以上ご報告まで。

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2007年9月 6日

ローマ人の物語(塩野七生)

五賢帝の時代も終わり、ローマはいよいよ衰退期へ?作者はコモドゥス帝より五賢帝最後のマルクス・アウレリウス時代にその徴候があったと見るが、それにしてもそれが今まで数多くあったローマの浮沈と何が決定的に違うのか、あまり語られていないのでこの時点ではまだわからない。批判されるこのの多いコモドゥス帝にもいい点はあったとして挙げつつ、「しかし、私が擁護できるのはここまで」という言いきりが面白かった。

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2007年9月 4日

幻夜(東野圭吾)

私は、二番煎じというものが大嫌いである。同じようなキャラクターによる、同じような展開の物語。そんなものは読みたくないと思う。
ここまで書いてしまったら大体の察しはつくと思う。ハラ君に勧められて読み始めた「白夜行」の続編と呼ばれる「幻夜」だが、3分の1にも満たない100ページ程度でもう、飽きてしまった。何も新味ないよ、これ。もし作者が、美冬だかなんだがの怪物性だけで物語を引っぱっていけると思ってるなら、それは大きな間違いだ。残念ながら私にとっては、こいつはそこまでの魅力はない。けっこう嫌な奴だが、白夜行は語りの見事さであのラストも私は許した。が、宣言しておくが、それは二度とはない。「幻夜」においては、先の主人公を際だたせるための周囲の人間の描写が、白夜行に比べるとやや雑である。、例えば、青江というキャラクター。いくらなんでも、「かわいい子が以前は好みだったが、大人の女が好きになった」という表現だけで片付けてしまうのはあんまりだろう。
展開が読めすぎる(特に、白夜行を読んだ読者にとっては)も問題。あるキャラなどは、ガンダムになぞらえて言えば「フラグが立って」しまっているのだ。おそらく、ラストでこのキャラが死ぬのはほぼ間違いないだろう。
しかし、私は一度読みだしたものはめったなことがない限り途中で投げだすことはない。しかし、読む以上は、それなりの代償も払ってもらう。上でも宣言したように、同じ終わり方は私は許すつもりはないので、仮に、今回もヤツが生き延びるようなら、この作家に対する評価は一旦リセットさせてもらう。せっかく今借りている「手紙」に手をつけられるのも、かなり遅れることになるだろう。そうならないとは思いたいが、残念ながら確率は低そうだ。

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2007年8月29日

夏休み読書月間

夏休みに読んだ本は以下の通り。夢野久作以外は初めて読む作家。

バルタザールの遍歴(佐藤亜紀)
マルドゥック・スクランブル--圧縮--(沖方丁)
後宮小説(酒見賢一)
Twelve Y.O.(福井晴敏)
白夜行(東野圭吾)
虚無への供物(中井英夫)
ドグラ・マグラ(夢野久作)
姑獲女の夏(京極夏彦)
九十九十九/土か煙か食い物(舞城王太郎)
暗黒童話(乙一)
黒死館殺人事件(小栗虫太郎)
翼ある闇-メルカトル鮎最後の事件(摩耶雄高)

最後のやつは、記事にするの忘れてたね。まあそんなに印象には残らなかったということで、
初読の中で、面白かったものを順に挙げると、

1.九十九十九(舞城王太郎)
2.白夜行(東野圭吾)
3.後宮小説(酒見賢一)
4.姑獲女の夏(京極夏彦)

かな。他の作品をぜひ読んでみたいと思うのも上記の4人。
機会があれば読んでもいいと思うのは、佐藤亜紀、沖方丁(なにしろ完結してない)。乙一と福井晴敏は優先度低め。

なんにしろ、守備範囲が広がり大変結構な夏であった。外国作家?それはまたの機会に...

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2007年8月28日

バルタザールの遍歴(佐藤亜紀)

日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
1人の中に二人の人格が同居し、超常的な力が使える...って設定、なんだかピーター・ストラウブの「ミスターX」に似てる?ひたすら酒におぼれる主人公(たち)が面白い。途中で一方が語り手につっこんだり、入れ替わったりして。
二部構成なのだが、「第一部 転落」「第二部 転落の続き」って...:)

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2007年8月27日

マルドゥック・スクランブル--圧縮--(沖方丁)

ハードボイルドSF?人物の内面描写やバロットが覚醒(再生)する場面などはよく書けている。銃撃戦なども映画を見ているよう。ただ、ストーリー的にはやや弱いかな?3部作なのだが、1作めの本書を読み終えてもすぐ次作に手が伸びるでもなく、待てる程度。

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2007年8月13日

後宮小説(酒見賢一)

ネタ的なとっつきにくさとは正反対に、一度のめりこむと一気に読めてしまう。これ、最初はリアル中国が舞台かと思ったら、実は架空の国の話なのね。「墨攻」なども今度読んでみたい。

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2007年8月10日

Twelve Y.O.(福井晴敏)

まあまあ面白かったのだが、読み終えるまでに時間かかった。理由は、キャラクターとかがあまりにガンダムっぽいというか、ちょっとキモいんだ。憶面もなくやりすぎてるんで、ちょっとこっぱずかしいというか。Y.O.というのは、どんな謎かと思ったらあっさり解決した。

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2007年8月 4日

白夜行(東野圭吾)

東野も初読み。
長く、登場人物も多いが、彼らはすべて主人公達を浮かびあがらせる道具立てとして使われているので、苦痛には感じない。むしろ、主人公の内面を書かないことで成功している。誰だよ、そこがわからんで直木賞から落とした奴。この夏で読んだ中でベストといっていい出来。
なんとなく、同じような境遇の宮部みゆき「火車」を連想させる。

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2007年7月27日

虚無への供物(中井英夫)

函館で読了。ってのは、何か運命的なものを感じ…はしない。
黒死館よりは、ストーリーやキャラクターに魅力があって面白かったな。推理合戦のあたりなど。
あと、途中で叙述トリック的な仕掛けがある。そこはちょっと騙された。
トリックの方はあまり印象に残るものはなかったが、この本の魅力はそこにはないのだろうな。

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2007年7月11日

ドグラ・マグラ(夢野久作)

8年ぶりかで読みかえしてみた。以前に読んだ記憶はすっぽり抜け落ちていた。なので、主人公が記憶をとりもどす旅に同行することに。
上下巻に分かれているが、その上巻はほとんど正木博士関連の資料で占められている。こんな構成だったっけ。凄いな。しかもその作りときたら、すごく情熱を込めて作られている。唄のところとか、調子に合わせて書かれているし。

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2007年7月10日

姑獲女の夏(京極夏彦)

食わず嫌いで手を出さなかったが、読みだしてみると一気に引きこまれる。なにせ、最初の関口と京極堂の延々数10ページも続く会話。これがこの本の真髄なんだろうね。ミステリかっていると、やや首をかしげるところもあるが、雰囲気は十分。
シリーズもので次も手を出したいところだが、この夏はいろいろな作家に手をだす予定なので、とりあえず後回し。

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2007年7月 4日

九十九十九(舞城王太郎)

舞城王太郎は前々からなんとなく気にはなっていたのだが、手をだしあぐねていた作家。
それが、今回、清涼院流水のキャラ「九十九十九」を使った作品を出したということで、
まずは「土か煙か食い物」から読んでみた。
最初はこの文体がとっつきにくいがすぐ慣れて一気に読んでしまう。面白い。面白いが、大ファンになれるタイプじゃないと思った。
続いて九十九十九。こいつは凄いな。この才能は。同じキャラを使った清涼院流水と比べてしまうが、(私は好きの度合なら流水の方が好きだから敢えて言ってしまうが)本家取りで明白に質の高いものができてしまっている。この話、第一話から第七話までで構成されているのだが、第二話まで勧むと、第一話は第二話の中では、送られてきた本の内容(フィクション)ということになっている。そんな連鎖が続くうちに、四話と五話、七話と六話の順番が逆転していたりする。それには理由があって…
知的興奮を満足させてくれる上、物語としても上々。ただ、これだけは言っておく。この話は単独でも十分楽しめるが、流水のJDCシリーズを読んでいれば更に楽しめる。

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2007年7月 3日

暗黒童話(乙一)

私がよく行く中原のイタリアンレストラン「ピアチェーレ」って、乙一の行きつけだったらしい、という話を店の方から聞いたり、勧められたりした縁で読んでみた。
最初に抱いた感想は、貫井徳郎だか折原一だかでこんなん読んだなあ、ということ。まあその仕掛けは仕掛けなんですが、一応ホラーと聞いていたのだが別にそんなに恐くはない。雰囲気はなんとなく伝わってはくる。もう1作どれかを読んでみたもいいとは思わせる作家。

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2007年7月 2日

黒死館殺人事件(小栗虫太郎)

清涼院流水の「ジョーカー」のネタに登場もし、作者に影響も与えているようなので、読んでみた。
いやあ、長い。長いし、途中で探偵=法水が披露する蘊蓄が、全然関係ないところから湧いてくるので、出現のたびに唖然とする。辛抱して読めばつながってくるのだが、とっつきにくいことは確か。ストーリーやトリックの方はあまり印象には残らない。そういうところも含めてヴァン・ダインぽい。
どっちかというと私の好みのタイプではないなあ。

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2007年5月25日

ハサミ男

清涼院流水ですっかりミステリボケになったみたいで、普通なら気付きそうなこの本の仕掛けも、うっかりスルー。いや、負けおしみはやめよう。仕掛けに気付かせる隙を与えず、ぐいぐい読ませてしまう力がある。現にこれ、ほぼ一晩で読んんでしまったし。
ただ、後でこれ、映画化されたって聞いたけど…マジ?映像化すると、一番重要なポイントが使えないことになっちゃうんですが。

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2007年5月24日

カーニバル(清涼院流水)

いやー読破しました、JDCシリーズ。今回はコズミックに比べて更にすごい。なにしろ、億単位で殺人があるんですよ。1週間に400万人が死ぬ殺人オリンピックが1年間続き、最後には月が地球に落ちてきて人類が滅亡するんです。そんな犯罪と探偵たちが戦う。。。既に、ミステリの枠を超えてるのがおわかりでしょう。予想はできると思いますが、ミステリを期待して読む読者には、めっちゃ評判悪いと思います。ボリュームもあるしね。で、1000枚を超えるこの長編を読みきった後に待ちうけているもの…人によっては怒りだすでしょうな。それに、「コズミック」「ジョーカー」の洗礼を浮けてない人にもこれ、きついでしょうなあ。ということで、商業的にも失敗が予想されます。ま、でも私は楽しめました。その確信犯(正用)的な外しかた、そして何よりあちこちにちりばめてある「笑い」が好き。「これが小説だったら、人々はあきれるだろう」とかセルフツッコミのような文章とか。人類の存亡を賭けた最後の大勝負が…だったり。

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2007年5月16日

コズミック・ジョーカー(清涼院流水)

正統派よりもキワモノがどうしようもなく好きだ。「ナイルに死す」よりも、「オリエント急行殺人」や、「アクロイド殺し」が好きなんです。わかる?
ということで、本作はなにやら物議をかもした問題作ということで、読んでみた。
作者のおすすめ通り、コズミック流→ジョーカー清→ジョーカー涼→コズミック水の順で読んだ。
んーまあ、こういうのもミステリとしてはありじゃない?ないとしても、話としては楽しめると思うけどね。
キャラが立っていたり、必殺技推理があったりするのはさておき、遊びの部分がいい。
「犯人は…使用人D!」のくだりなどは、読んでいてふきだしてしまった。

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2007年5月 8日

薔薇の名前(ウンベルト・エーコ)

はら君に借りた本、GWかけて読みきりました。
この本のミステリ(謎解き)としての要素は、どこかでこの本の内容(笑いについて)言及しているものを読んだことがあったので、なんとなく分かってしまった。でも別に謎解きが主眼ではなく、歴史的背景や丁寧な人物描写などを堪能できた。
しかし面白かったのは、やはり文書館の中の部屋の図を見ながらいろいろ考える部分かな。最初に頭文字を繋げた単語で見つけたのは、「EGYPT」の部分。その他のは、みつからなかったけど(どうせ英語じゃないと思ったし)

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2007年3月25日

千尋の闇(ロバート・ゴダード)

まず上巻だけ買って読んでみた。展開にひきこまれ一気に読めてしまった。上巻の範囲では、叙述トリックなみに仕掛けありまくりなのかもと身構えてしまった。下巻を読むまでの2週間ほど、何度も読み返して色々推理したり。下巻を読んでみたら意外にあっさりしていた。面白かったけど。

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2007年2月28日

アラビアン・ナイトメア(ロバート・アーウィン)

いきなり驚いた。1章で主人公がカイロの町に入る描写があったのに、次の章で同じ主人公がまたカイロに近づいていくところに戻っている。しかも微妙に表現が変わってたりして。これはどちらかが夢?どこから夢がはじまり、どこで終わるのかわからない。しかも夢自体もどうやら何重の階層になっているようだ。こういう話は好きだね。ズレイカという娼婦が登場するのだが、彼女は明らかに第一階層あたりの夢にしか存在しないように見える。変なところだけでなく、騙り手の物話の中に出てくる登場人物が、また別の物語をはじめ、更のその物語の中で…のネストの繰り返し。途中観客は「そこはとばしてくれ」と言ったり。そのネストがおかしくてつい笑ってしまう。こういう話で笑わされたのは初めてだよ。

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2007年2月27日

ケルベロス第五の首(ジーン・ウルフ)

旅行先で、あまり余裕のない時に一気に読んでしまったので、もったいなかった。裏に隠された意味とか、何も咀嚼してない。第三部とか、いろいろ仕込みがあったらしいのだが。

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2007年1月 2日

ミスターX/ピーター・ストラウプ

下巻の途中で3ヶ月ほど放置していた本お冬休みに消化した。長いし、難解なんですよ。「時をのみこむ」というような表現もさることながら、人物の感情などについて直接的な描写があまりないからかも。読んでみて、まあまあ面白かった。でもラブクラフトの小説とは別物だと思う。

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2006年8月 3日

嫌オタク流

んーなんだなこれは、結局のところ、オタクに対するエールなんだと思う。
その辺が他の嫌なんとか流と違うところだな。
あと妙に納得したのは、「オタクは遊佐未森などの偽ケルト流の音楽を好む」「初代オタクは中島みゆき、谷山浩子が好き」というあたり。周辺に傍証多数…

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我孫子武丸「殺戮に至る病」

筒井戦勝利に気をよくして叙述トリックものを読みまくっているわけですが
最初から分かって読むのはアンフェアという説もありますが、向こうも騙す気満々なのだから仕方がない。
今回もネタバレ注意で。
100ページあたりまで読みました。折原に鍛えられ、だいぶこつが分かってきたのだが、
叙述トリックでは文章、または構成に何かが隠されている。それは表現などで巧妙に隠蔽されているのだが、ある程度その「隠す表現」が続くと、どうも不自然ってことになる。
で、今回は、まず構成があやしい。今回、いきなり冒頭が「エピローグ」になっていて驚いたりするのだが、各節は三人三様、それぞれの視点で書かれているものが交代で登場。なぜこんなぶつ切りで、時間もずれた形で進行していくのか。一つは、三者の時間が離れているのではないかという点。最初の事件と第二の事件に時間差がある可能性は?時間が近しいという根拠は岡村孝子の歌だけだが、歌は「夢をあきらめないで」1987年か。本の刊行は1996年以前なので、数年の時間差はあるのかもしれない。離れていないという根拠は、「前年」という見出しと「雅子が不審を抱く三ヶ月前、前年」という記述のだが、それは雅子の不審の開始をどこにおくかによる。
もう一つは彼らの、特に雅子と稔の関係だ。
稔側の記述を読むと、稔には「母親」がおり「雅子」という稔に近い人物がいることがわかる。
雅子側の記述を読むと、雅子には夫、息子、愛という娘、それに「稔」という人物。
問題は、雅子にとって稔とは、稔にとって雅子とはどういう関係かということなのだが、100ページばかりまででは、どうやらそれが「隠されている点」のようだ。「母親=雅子」「稔=息子」と直接的に描写した表現は見当たらず。47ページに「稔が大学に試験のために出かけた」とある(雅子サイドで「稔」という名前が登場するのはここだけ!)。が、別に学生でなくても大学は行くし、証拠にはならない。
稔が雅子の夫だとしたらどうだ?傍証は結構ある。
・36ページ「同じ文学部の院生だと嘘をついた」院生じゃなくて、先生なのかも。
・72ページ、新宿でひっかけた女の子に「オジン」呼ばわりされている。本当にオジンなのかも?

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2006年7月31日

筒井康隆「ロートレック荘事件」

ということで今度は、「ロートレック荘事件」に挑戦。
87ページまで読了。例によって未読の人はネタバレ注意。
今回きがかりなのは「おれ」という一人称だ。第一章からずっと「おれ」の視点で物語が記述されているのだが、まず第一章と第二章では明らかに「おれ」の対象が入れ替わっているように(一般読者には)読める。一章の語り手は幼少時に重樹自身に怪我をさせた、重樹とは同い年、従兄弟の間柄。二章以降は重樹本人と読める。では、一章の語り手は二章以降でどこに登場するのか。自然な連想では、主人公と同い年である工藤忠明という人物なのだが、よくよく読んでみても、工藤が一章の語り手であった証拠は二章以降、提示されていない(六章までは)。これは二章以降の語り手を工藤であると読者に思わせるミスディディレクション?
もうひとつ気になる点が。二章以降の各章では、「おれ」の語り手である人物は「重樹」である証拠が随所に示されている。が、が、が。七章だけにはその痕跡がない。七章でだけ「おれ」が入れ替わっているかもしれない。では、七章の語り手は工藤なのか?
もう少し大胆に推理をとっぴな方向にとばしてみる。一章ではその語り手は重樹にどんなときもずっと付き従うとある。仮に工藤が一章の語り手でないと仮定すると、一章の「おれ」はいったいどこに行った?
重樹に常に付き従っているのではないのか?実は、一章の語り手は二章以降もそこに、つまり重樹のそばに存在するとしたら?それについては誰も語っていないのだとしたら?
もっと違うバリエーションに挑戦してみる。実は、一章以降「おれ」は入れ替わっていないのだとしたら?
二章以降の語り手も重樹ではなく、重樹のそばにいる「おれ」なのだ。うーむ、これはかなり大胆だな。
まわりのみんなは重樹に語りかけたりしてるから、重樹が口が利けないのでない限り重樹が答えないのは不自然だ。それに三章、四章の語り手は「身長が止まった」旨の記述があり、あきらかに重樹だ。
んー。こんなところで、とりあえず先に行くか…
そういえば、ろころどころにロートレックの絵が挿入されているのだが、これって何か意味あるのかな。

続きを読む "筒井康隆「ロートレック荘事件」"

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折原一「異人たちの館」読了

引き続き、ネタバレ注意
うーむ、小松原の姓の件も、ひらがなの件も惜しいところまではいったのだが、結末はその上をいっていた。「じゅん」…の名前は、やつの下の名前に気づくのが遅れたのが心残り。意気込みすぎか、自分の最初の方の推理はかなり的外れで、後から読むと笑えるな。

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2006年7月27日

折原一「異人たちの館」(2)

227ページぐらいまで読んだ。またまた、疑問点が。
島崎というゴーストライターが取材して、手記を書くことになっている。ところが、160ページからの白浜に取材した記事の後に、島崎が白浜に取材する様子が載っている。順番が逆までとはいわないが、双方並べる必要があるのだろうか。この内容を含め、この手記を書いたのは島崎ではないのではないか?という疑問を読者に浮かばせるためだろうか?
他に、島崎が実際に人に取材している様子が描写される箇所をチェックしてみる。白浜のほかには、「季刊児童文学」編集長の野々村真治。手記の中では、野々村は小松原母子に直接会ったことになっているが、島崎との対面の描写では、野々村の記憶はあいまいだ。教師の田所のところでも、島崎が田所のコメントをチェックするという描写にとどまっており、直接会ったという確証はない。
本当に島崎自身が取材しているのか?どうもあやしい。手記の描写は前回の件もあり、信用ならないものとして扱ったほうがいいかもしれない。
島崎は、淳を直接知る人に取材した描写がないのは、何か理由があるのかもしれない。それは、島崎自身が書いてないか、島崎が淳を知る人に合っては不都合ななにかがある(島崎が淳本人であるとか)もしくはその両方である疑いが濃い。
「異人"たち"の館」というタイトルも気になる。「館」というのは小松原の館のことか。異人とは、島崎と他にいるということか。妙子やユキもひょっとして異人なのだろうか。

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2006年7月26日

折原一「異人たちの館」

折原一「異人たちの館」文庫161ページまで読んでのサマリ。未読の人は注意。
・辻褄が合わない。淳が9歳の時に母妙子は譲司と結婚とある。
 家政婦の証言に「のうのうといえにやってきて小松原姓を名乗っている」が、ちょっと待て。
 妙子も淳もそれ以前から小松原姓ではないか。児童文学賞受賞の時もそうだし、淳が生まれる前もそうだ。
 しかもそれが当人たちの言葉でなく、島崎が取材した第三者の証言なのである。これはどういうことか。
  ・譲司が婿入り?⇒前述の家政婦証言からありえない
  ・もともと前から小松原姓だった?⇒これはないだろう
  ・取材された人たちが口裏を合わせている⇒なんのため?雑誌記事までは偽造できないよね。
  ・島崎が虚偽を書いている?⇒だとすると、小松原妙子らの反応がないのが不自然だ。
  ・この取材をふくめ、全てが虚構⇒この可能性が高し
  ・すべては島崎の妄想。
その他気になる点
・三宅が淳を女の子だと言い張る点
・樹海の中の描写で、当事者の性別がはっきりしない点。その他、時間関係などもはっきりしないが…
・おなじく、名前がひらがなで言及される点。
・淳が生まれたときの記述が避けられている点

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2006年5月17日

萌えもえ!W杯観戦ガイド

という本を、本屋で見かけたのですが…
http://secure.ikaros.jp/sales/mook-detail2.asp?CD=M-033
一応各グループの各国紹介と、それにまつわる萌えキャラ3人の雑談、という形で構成されているのだけど、
いまひとつ、誰をターゲット層にしているのかがみえません。実在選手の絵(注目プレイヤー)のイラストは普通だし。
どうせなら、実在選手も全部萌えキャラにして、「萌えカーンvs.萌えレーマン」とかやってくれたほうが、面白いんじゃなかろうか。

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2006年4月19日

ダ・ヴィンチ・コード

読了しました。(ネタバレ有)
まあまあ面白かった。最後の導師の正体のとこはかなり前に分かっちゃってちょい興ざめだったけど。
黄金比のあたりはかなりトンデモな匂いがした。生物界が黄金比にあふれてるんじゃなくて、生物界のいろんな比の中から黄金比のものを恣意的に選んでるだけでしょ。よくエジプトの「ピラミッドの○○の長さは、××をあらわしている!」ってのと同じ。
映画にすると「トゥームレイダー」みたいにはちゃめちゃになってくれるとちょっとうれしいかも。
それにしても、本の中にブルース・シュナイアーの名前が出てくると期待して読んだのに、一度も出てこなかったような…暗号の話は出てきたけど、シーザー暗号並の奴とか、たった10桁程度の暗証番号をアタックするのに数週間もかかるとか、等々。

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2005年2月26日

アシモフの科学エッセイ

この前までロバート・J・ソウヤーの「フレームシフト」を読んでいたが、読み進むのが遅い遅い。今まで彼の作品は「ターミナル・エクスペリメント」「さよならダイノサウルス」「イリーガル・エイリアン」「占星師アフサンの遠眼鏡」「スタープレックス」と読んできたが、どれも外れ知らず。しかもそれぞれが切り口がちがうので一気に読めた。ただ今回のはだーめだった。分野が遺伝子のことなんで、あまり興味もてなかったのかな。で、アシモフの科学エッセイの方に浮気していた。家に15巻あって、今回は第2巻。何度か読んでいるが、こっちの方がドキドキする。「原子核の中の陽子同士は反発しあっているはずなのに、くっついてるのはなぜ?」とか。引き方も連載物みたいで、読者から「早く続きを書け!」と脅されているのには笑った。

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