この映画はバレエの世界、特に「白鳥の湖」を描いている。バレエの映画どころか、バレエも見ない私にとって、完全に未知の世界だ。そんな私に、この映画の出だしは完璧なイントロになっている。その場面は、「白鳥の湖」のヒロイン、オデットが悪魔に追われ、白鳥に変えられてしまうシーン。劇の序奏であり、映画の序奏でもある。このバレエでの表現がすばらしく、ここで一気に引きこまれた。
ここでとりあげられた「白鳥の湖」というテーマそのものが、映画の構造を象徴してもいる。白鳥の湖は、オデット(白鳥)とオディール(黒鳥、つまりブラック・スワン)を、一人の役者が二役で演じることになっている。映画の主人公ニナも、白鳥のような臆病な性格だが、この二役に抜擢され、黒鳥の演じ分けに悩む。しかし、彼女は本当に臆病なだけなのか?この二役という構造が、この映画の構造にも反映されているように思える。
この構造、私の好みどストライク。夢?幻覚?妄想と現実が入り混じり混沌となり、物語が終わってもその余韻が続く。
そして、全体を覆う不穏な空気。終始、不安な、自信なさげな表情のナタリー・ポートマンの演技もいい。ラストでの変貌ぶりがよりきわだつ。
あまりにもはまり過ぎて、今年見た映画ベストワンに認定。


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